下水中ノロウイルス濃度が上昇しています!

 
 

前回のノロウイルス情報の報告から少し時間が経過しましたが、その後の経過と現在の状況をお知らせします。前回の報告後(4月3日)、流入下水中のノロウイルス濃度は情報発信基準値レベル以下となりこの状況が今後継続すると考えていました。ところが、5月23日と30日のノロウイルス濃度がまた基準値を超えてしまいました。丁度この時期に、仙台市(小学校)と名取市(保育所)でノロウイルスの集団感染が報じられましたが、その影響かどうかは今季の感染性胃腸炎患者報告数の動向と流入下水中のノロウイルス濃度の変動の全体を精査しなければ判断できません。しかしながら、今回の仙台市における集団感染者数を考慮しても、仙台市の感染性胃腸炎患者報告数は非流行期より少し多い数百人程度に留まっており、千人を越すような流行レベルにはなっていない状況です。
 この状況は、今季の感染性胃腸炎患者報告数の動向と流入下水中のノロウイルスの濃度の関係と一致するものです。現在、感染性胃腸炎患者と流入下水中のノロウイルスの遺伝子型を精査しており、その結果が判明すれば今季のノロウイルス感染症の実態について報告することができると考えています。
 いずれにしても、今季のように流入下水中のノロウイルス濃度が基準値を超えているにも関わらず、感染性胃腸炎患者報告数から認識できるレベルの流行が発生していない状況は、これまでの調査研究の内容とは異なる結果となっています。ただ、情報を発信している立場からは、今季大きな流行が起こっていない状況は非常に望ましいと考えています。
 最後に、流入下水中のウイルス濃度がまた基準値を超えていますので、ノロウイルス対策には十分ご配慮を願いしたいと思います。

 
 

感染予防対策

1.手洗いをよく行う。  
ノロウイルスに感染した人の手を介して感染が拡大する場合があります。トイレの使用後、オムツ替えの後、調理を行う前などによく手洗いをしてください。

2.食べ物をよく加熱する。  
ノロウイルスはカキなどの二枚貝(貝殻2枚で身を覆っている貝)の体内に蓄積されやすいことが知られています。二枚貝を食べる際には、十分に加熱するようにしてください。十分な加熱は、調理の内容によって異なりますが、身の中心部まで熱がしっかり通ることが目安です。

3.ドアノブ、イスなど、手で触れる場所を消毒する。  
ノロウイルスに感染した人が触れたドアノブなどを介して感染が拡大する場合があります。家庭内で手でよく触れる場所をアルコールなどでよく拭いてください。

4.キッチンや調理器具を消毒する。  
ノロウイルスに感染すると、症状が出る前から排出され始めます。下痢や熱などの症状がなくてもノロウイルスに感染している人が調理をすると、食事をした人に感染する可能性が出てきます。キッチンや調理器具をこまめに(熱湯やアルコールなどで)消毒してください。

 
 

その他、衛生対策に関するより詳細な情報は以下のサイトをご覧下さい。

ノロウイルスに関するQ&A(厚生労働省) 

ノロウイルス感染症(国立感染症研究所・感染症情報センター)

ノロウイルス(感染性胃腸炎・食中毒)対策〜冬は特にご注意を!〜(首相官邸)